前回の続きです。今回は最終回です。
ダイビング後の留意事項
ダイビング後は、海抜ゼロメートルより高いところへ行くと周囲の気圧が下がり、体内に溶け込んだ窒素が海抜ゼロメートルで溶け出す速度より速く溶け出してくる(→減圧症)。飛行機はダイビングが終わってから高所へ行き、アルティチュード・ダイビングでは高所(低い気圧)でダイビングをスタートし終了する。ゆえに対処法が異なる。ノンストップのダイビングをした場合:ⅰ単一ダイブ(反復ダイブなし)では飛行機に乗るまで、少なくとも12時間の水面休息時間を持つことが推奨される。ⅱ反復ダイブまたは複数日にわたるダイブ(数日間続けて毎日ダイビング)では、飛行機に乗るまで少なくとも18時間の水面休息時間を持つことが推奨される。緊急減圧停止が必要なダイビングをした場合:飛行機に乗るまで、少なくとも18時間よりさらに長い水面休息時間を持つことが推奨される。標高300メートル以上の高所でダイビングする場合にはアルテイチュード・ダイビングの手順に従う。
減圧症への対策
ダイビング中に寒くなったり、激しく動いたりした場合には、ダイブ・コンピューターが計算するより多くの窒素が体内に溶け込んでいることがある。これは減圧症になる危険性を高める。この場合控えめを心がける。十分にノンストップ・リミットの範囲内にとどまることはもちろん、普段よりさらに控えめにダイビングし、余裕を持たせたノンストップ潜水時間を見込んでおく。RDPでは実際の深度より4m/10ft深く潜るものとして計画を立てる。
緊急減圧停止
ノンストップ・リミットを超えてしまった場合は1回以上緊急減圧停止を行わなければならない。安全停止と違って、緊急減圧停止は理論上の窒素レベルの許容範囲を超えないため必ずしなければならない。緊急減圧停止はダイバーを限度内に戻すためのもの。レクリエーション・ダイビングではダイブ・コンピューターの確認不足かタイムリミットを過ぎた場合のみ。コンピューターのノンストップ時間を超えた場合は減圧モードに入り、緊急減圧停止をする深度と深度に留まる時間を表示する。緊急減圧停止の深度と時間はその都度コンピューターが指示する。表示される停止深度より浅いのはダメだがやや深くてもよい。空気が残り少なくて緊急減圧停止を最後までできない場合、安全にエキジットと水面に到達するのに十分な空気を残し出来るだけ長く停止する。緊急減圧停止を最後までできなかった場合には、浮上後に純酸素があればそれを呼吸し、減圧症の症状が出ないか様子を見る。少なくとも24時間はダイビングをしない。
減圧症になった場合は?
肺の過膨張傷害と減圧症は症状が似ているので、肺の過膨張傷害と減圧症の両方を指す減圧障害(DCI)という用語が使われている。ダイバーはすべてのダイビング活動を中止。呼吸の有無を確認し必要ならCPRを行う。救急隊に連絡。ダイバーを横にして、酸素を与える。減圧障害の場合は、ほぼすべての症例で再圧チャンバーでの治療が必要。ダイバーを再圧チャンバーに入れて圧力をかけていき、体内に生じた気泡を身体に吸収させる。
ガス昏睡
ⅳガス昏睡。酔ったような感覚(高揚感)。身体が思うように動かなくなる。思考力が低下する。反応が遅くなる。意味なく笑う。気分が落ち込む。気が大きくなって間違った安心感を持つ。安全に対する配慮を欠いた行動をとる。ガス昏睡ではそれ自体は問題ではなく、判断力の低下が問題になる。ガス昏睡は、体内に溶け込んだ気体が増えた結果、脳から神経系へと走る神経インパルスが遅くなることによって引き起こされる。大半のダイバーは深度30メートル/100フィートあたりでガス昏睡に気付く。すぐに浅い深度へ移動してダイビングを続けるか中止する。
水中ナビゲーション
水中ナビゲーションは水中コンパスを使用。ⅰ磁石の針(北)。常に北を向くのでコンパス・ナビゲーションの基準になる。ⅱラバーライン。コンパスの中心を通る真っすぐの線、または6時から12時の方向へ引かれた線。常に自分の進行方向を指し示す。ⅲインデックスマークの付いたベゼル。ベゼルを回して2本並んでいる短いマークを磁針に合わせる。これにより真っすぐの方向を維持しながら泳いでナビゲーションできる。ⅳ方位目盛り。自分の進行方向がわかる数字が刻まれている。ラバーラインが自分の行きたい方向を指すようにする。磁石の針が北を指して落ち着くのを待って、ベゼルを回して2本のインデックスマークの間に磁針が来るようにする。コンパスを水平に持ち、インデックスマークの間から磁針(北)が外れないようにしながら、ラバーラインが指し示す方向へ泳ぐ。コンパスの針がどちらへ向いていようと、ラバーラインが自分の進行方向だということを忘れない。
これで全てです!安全に十分気を付けて楽しいダイビングライフを送りましょう!
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