【著作権はどこまでセーフ?】ジャンプなどの著作権について

著作権 コンテンツ制作

Youtubeでは漫画のコマやアニメの切り抜きを使って作成された考察動画等があります。こうしたものは著作権的には大丈夫なのでしょうか。

結論からすると、集英社、講談社ともにかなり厳格な著作権ポリシーを定めています。たとえば、漫画のコマを切り抜いて動画に挿入するなどは著作権違反に該当する可能性が高いです。

集英社の著作権

集英社はジャンプ等を保有する会社です。集英社の公式ホームページのQ&Aには、著作権についての記述が色々と記載されています。

Q:集英社の出版物の表紙やカバー、商品等のパッケージ画像をSNSなどに転載したい。
A:個人の方に対して出版物の表紙やカバー、パッケージ写真の利用許諾は行っておりません。著作権法の範囲(著作権者の許諾なしで著作物を利用できる場合)でご利用ください。

著作権を自由に利用できるケースには以下のようなものが定められています。
①私的利用のためにコピーすること。
②自分の著作物(論文等)に他人の著作物を引用すること。引用箇所の明記や引用文の明確化が要件。
③教育機関でコピーすること。
④非営利・無料で著作物を上演、演奏などすること。入場料が無料で金銭的な報酬がない。

”出版物の表紙やカバー・文章・漫画その他イラスト等の絵柄・写真・キャラクター等の全部または一部を複製・翻案等して印刷物に掲載する、(有償・無償を問わず)物品の表面等に表示する、あるいはSNS・動画などを通じてインターネット上に掲載すること”については禁止されています。
→すなわち、漫画のコマなどを抜き出して掲載することは著作権違反である可能性が高いです。

ご指定頂いたページが見つかりませんでした。 | 集英社 ― SHUEISHA ―

この基準に基づくと、漫画のコマ等を複製してSNSや動画上に転載しているものはすべて著作権法違反になります。たとえば、以下のチャンネルは集英社の著作権に違反している可能性が高いです。呪術廻戦の漫画のコマを複製して転載しており、収益化しています。

Latte【考察】
Twitter @Latte_kousatsu ※著作権について 本チャンネルの動画やサムネにて使用、掲載している画像や台詞などの著作権・肖像権等は、各権利所有者様に帰属致します。 動画の内容については、各権利所有者様や第三者に不利益のない...

個人的にはこのチャンネルが数カ月後も残っているのか気になります。
同様に、以下のブログも集英社の著作権基準的には厳しい可能性があります。

【ネタバレ】呪術廻戦 第231話「人外魔境新宿決戦⑨」あらすじ、ネタバレ
週刊少年ジャンプに掲載されている、呪術廻戦 第231話のネタバレ、感想です。 前回の記事はこちらです。五条は再び、無量空処を展開して次は一撃で決めようとしますが、突然鼻血を大量に出します。 魔虚羅が「無下限呪術」に適応するまで、あと3回 無

集英社の著作権基準は、私の知る限りかなり厳しめと言えます。それゆえ、どこまでを許容し、どこからを許容しないか、という実際のラインはかなり気になります。この著作権基準をなぞる限りだと、漫画のコマを掲載することは違反に入りますが、漫画のコマをそのまま掲載することなく、色々と考察する分には問題ないと言えるでしょう。”どちらかというと論文のような考察で、あくまで自分の論文が主体”であり、”漫画のコマは一切引用しない”という辺りが、集英社の著作物基準を文字通りなぞるならばセーフなラインと言えるのではないでしょうか。

そうなると以下のチャンネルがギリギリグレーゾーンではないでしょうか。

やまちゃん。
【著作権について】 チャンネル内における動画にて使用、掲載している画像や動画、台詞などの著作権・肖像権等は、各権利所有者様に帰属致します。 動画の内容については、各権利所有者様や第三者に不利益のないよう、細心の注意を払って制作しておりますが...

私はこの方の声が苦手であまり見ていませんが、少し拝見した限りだとほぼ漫画のコマを掲載していません。掲載したとしても、二次創作的に描かれたイラストだったり、表紙画像だけだったりで、(集英社は表紙画像の転載も禁止しているので怪しいですが)かなり巧妙に著作権に気をつけていることが伺えます。但し、動画によってはだいぶ怪しいラインなので、通報すれば消される可能性はあります。そもそもキャラクターそのものに著作権があるので、公式漫画からキャラクター画像を転載している時点で著作権違反の可能性は高いです。この辺りを集英社側がどう見るかは一つの指標になるでしょう。

講談社の著作権

講談社も集英社並みに著作権は厳しいです。以下が講談社の著作権について記載されたURLになります。https://www.kodansha.co.jp/copyright.html

講談社で禁止されている事項は以下の通りです。

  • 出版物の装丁・内容・目次等、あるいはホームページ上の画像・文章・漫画・キャラクター等の全部または一部を掲載・転載すること。
  • 出版物やホームページ上の文章・漫画等の要約を掲載したり、出版物やホームページ上の画像・文章・漫画・キャラクター等をもとにした漫画・小説・文章等を作成し、掲載すること。
  • 出版物やホームページ上の画像・漫画・キャラクター等を使用・改変してイラスト・パロディ・画像等を自分で作成し、掲載すること。
  • 出版物やホームページ上の画像・漫画・キャラクター等から、あるいはそれらを使用・改変した自作のイラスト・パロディ・画像等から、壁紙・アイコン・コンピューターソフト等を作成し、掲載すること。

これは厳しい。目次や表紙だろうが掲載したら許さない、漫画の要約やキャラクターの二次創作も許さないという強い意思を感じます。同人誌、考察、イラスト作成含めて全ての行為が禁止されています。ファンイラストも禁止されているという点では、割と見たこともないくらいの厳しさです。某夢の国の住人は、イラストを少しでも使用した会社を片っ端から著作権違反で訴えたことからネット上で恐れられるようになりましたが、講談社の基準は同格と言えるでしょう。

講談社の方が基準としては厳しいように見えますが、通報窓口をできるだけ気軽に送信できるように整えている集英社と違って、こちらはだいぶ対応手段が弱いです。

アニメの著作権

近年最もアニメ制作に強い会社といえばMAPPAですが、MAPPA公式には著作権の記述がみられません。アニメ内にもテロップが見られません。ただ、だからといってMAPPAの製作物には著作権がないのかと言われれば、それは無いでしょう。無断転載は基本的に禁止されているはずです。

では、著作権について明記がある京アニの記述を見てみましょう。

京都アニメーションホームページ
京都アニメーションホームページへようこそ。アニメ作品情報、オリジナルグッズなどの情報満載です。スタッフコンテンツもお楽しみに!

これによると、京アニ”ウェブサイトの内容及び画像・映像・音声等を京都アニメーションの事前の承諾なく無断で複製・加工・転載等することは、著作権の侵害となります”とあります。これはアニメの著作権に対する記述ではありませんが、京アニのスタンスは大体これと同じと見て良いでしょう。

すなわち、アニメを切り抜いて(加工して)転載する行為はすべて著作権違反に該当します。ただし、現実問題として大して著作権違反で訴えているケースが見られません。アニメの切り抜き動画は大量にyoutubeに出回っているし、アニメの映像をスクショして貼り付けているファンブログも多々見られます。これらは厳密にいうと著作権違反なのでしょうが、ほとんど停止されたケースが見られません。

要は程度の問題なのだと思います。アニメを丸々youtubeや違法サイトにアップロードする行為はさすがに訴えられますが、そこまでじゃなければ見て見ぬふりをしているのが現状ではないでしょうか。(切り抜き動画は訴えられれば確実に負けると思いますが)。今はアニメの収益化について色々と模倣されている最中ですが、その行先によってはこうした行為も規制されていくでしょう。かつては違法サイトにガンガン流れていたのが、今はamazon primeやnetflixで僅かな収益でも入る様にはなりました。当然それではビジネスとして成り立たないので、今後はアニメの切り抜き等の規制も含め、模索が続いていくと思います。

なぜこのような状態が野放しになっているかですが、権利関係の難しさが一因になっている可能性があります。以下は弁理士会が2007年に制作した記事ですが、アニメ制作の権利構造の複雑さについて言及しています。2018年に著作権法が改正されて一律70年間に変更されたり、アニメの製作は多くの場合そのアニメの委員会を作ったりするなど、随分と様相は変わりました。然しながら、各アニメ会社のホームページ等をチェックする限りだと、いまだに著作権周りを誰が窓口として対応するか、どう対処するか等の問題は山積みのまま解消されていないように思います。

https://jpaa-patent.info/patents_files_old/200808/jpaapatent200808_011-047.pdf

コメント

タイトルとURLをコピーしました