ブログや動画作成に誰かしらの人物の画像を使用することは珍しくありません。ではどんなときに肖像権を無視してフリー画像のように人物の画像を使えるでしょうか。
そもそも肖像権ってなに?
実は法律上で肖像権について明文化したものはありません。それゆえ、肖像権について刑法上で罪になることはありません。一方で、民事上は人格権や財産権を根拠として、いわゆる肖像権が認められることがあり、実際に損害賠償請求が為された判例があります。尚、公人にも肖像権はありますが、私人に比べて肖像権は緩やかです。公人には公務中の警察官や政治家等を含みます。肖像権の範囲については、個人が特定されうる場合に限定されます(顔が映っている場合等)。
それでも、例えば犯罪を犯した人物の顔写真が公表されたり、指名手配犯の顔写真が公表されていることに疑問を感じたことはないでしょうか?この場合は、日本国憲法の「公共の福祉」を根拠に公表されています。つまり、第三者から客観的に見て写真を公開することが公益たりうると判断される場合、顔写真等を公表しても肖像権(人格権)の侵害にはなりません。
一方で、例えばテレビの街頭インタビュー等はかなりグレーゾーンです。その人物の顔写真を映すことそのものに明らかな”公共の利益”がなく、動画に映った人物が嫌な思いをした場合、差止請求や損害賠償請求が認められる可能性はあるでしょう。
犯罪者の肖像権について調べてみると以下のようなyahoo知恵袋が出てきますが、これのベストアンサーは明らかに誤りです。
肖像権を無視できるケース
結論ですが、人が亡くなればその瞬間に肖像権は消失します。ただし、注意事項が3つあります。
- 肖像権には人格権と財産権があり、財産権については消失しません。たとえば故人が写真集を出していて、それが死後も売れていて遺族が儲けを受け取っている場合、財産権は残っています。この場合、第三者が故人の写真を使って写真集の売上を阻害したならば違法になります。
- 故人の名誉を棄損するような使い方をする場合には、刑法130条違反になります。死後も人格は保障されるということです。
- 写真については著作権法の対象です。但し著作権法は、“思想または感情が創作的に表現された”著作物の利用を支配できる権利なので、思想や感情が創作的に表現されていない写真に著作権はありません。もしそこに創作性がある場合、肖像権が切れても著作権は死後70年間残ります。
すなわち、写真集を出しているような特殊ケースを除いて、故人の名誉を棄損するような使い方をしない限り、肖像権は消失しているのでフリー画像として使えます。音楽室に飾られたベートーヴェンやバッハの肖像画は、もう肖像権がないのでどこかに許諾を取る必要など無いわけです。ただし、誰かが作成したデフォルメした人物画などには著作権がある可能性があります。
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