講談社や集英社の著作権はボカロ等音楽系の著作権より厳しいことを見てきました。今回は、アプリゲームの著作権について見ていきます。
結論からすると、サイゲームズはボカロ等音楽系の著作権ポリシーよりかなり緩いです。大抵のことは著作権違反に該当しません。一方で、FGOの著作権ポリシーはやや厳しめです。
サイゲームズの著作権
サイゲームズの配信ガイドラインには以下のように定められています。
当社コンテンツのゲームプレイを配信することに対し、ガイドラインを定めます。また、当社は、以下のガイドラインをお守りいただく限り、個人・法人、営利・非営利を問わず著作権を行使いたしません
cygames 公式より
グラブル、ウマ娘、シャドーバースなど、YoutubeやTiktokで配信する場合、公序良俗に反しない限り、営利目的だとしても一切の禁止事項がありません。また、ゲームプレイ画像や動画を投稿することの全般を許しています。これはすごい。
以下はウマ娘の二次創作ガイドラインで禁止とされている事項です。
- 本作品、または第三者の考え方や名誉などを害する目的のもの
- 暴力的・グロテスクなもの、または性的描写を含むもの
- 特定の政治・宗教・信条を過度に支援する、または貶めるもの
- 反社会的な表現のもの
- 第三者の権利を侵害しているもの
これに反しない限り、”安心してファン活動を行”うことを許しています。これは馬主と協議する際に、馬主側に対する最低限の配慮として構えられたものと聞きます。二次創作全般の禁止が明記されている講談社とは随分とスタンスが違っているのが分かります。二次創作も含めSNSの盛り上がりも活かしながらアプリの利益に繋げようとしている姿勢が感じられます。”コンテンツの中身が100%である漫画やアニメ”と違ってゲーム性で売り込むことも頭にあるのでしょう。
FGOの著作権
FGOは配信元アニプレックス、開発担当ディライトワークス、元シリーズType-MOONというやや複雑なスキームで構成されていました。2021年にディライトワークスがFGO含めたゲーム事業をラセングルに継承させ、ラセングルの株式の100%をアニプレックスが取得。これにより、FGOは完全にアニプレックスの支配下となりました。
結論から言えば、FGOの著作権や二次創作ガイドラインはサイゲームズより厳しいです。
FGO公式の二次創作ガイドライン
1. ゲームの画像や映像をコピー、取り込み等して使用することを禁止します。
2. トレースによって描かれたものは禁止します。
3. ロゴやアイコン等に類似するものを制作して使用することを禁止します。
4. 引用の域を超えて脚本や小説家して使用することを禁止します。
5. 音楽のデータをコピー、取り込み等して使用することを禁止します。
6. 同人活動の範囲を超えた商業目的での制作や頒布を禁止します。
Type-MOONの著作権(http://typemoon.com/copyright)はほぼFGO公式ガイドラインと同じです。
これは判断が難しい。「1. ゲームの画像や映像の使用禁止」から順当に考えればゲーム画面のスクショやFGOの実況プレイは禁止されているものと考えられます。「4. 引用の域を超えて」というものはシナリオ(文章)についてのみ定めたものなので、ゲーム画像やキャラクター画像を使用することは、どんな状況であれ禁止されています。
FGOのガイドライン上には”有償利用ならば~”、”無償利用ならば~”のような書きぶりはありません。無償利用でもFGOのゲーム画像を共有することは禁止されています。一方で、FGOの画像を掲載しているユーザーが片っ端から訴えられたなんて話は聞きません。つまるところ、無償/有償で共有されたことにより被る損失が許容量を超えない場合、見て見ぬふりをして見逃しているのが実態である、といえます。Type-MOONでは”体験版として無償で配布されている範囲”は配信することを禁止されていないので、これをもってFGO序章までなら実況を見て見ぬふりする実態があるようです。
ホロライブでは兎田ぺこらが第1部後半の実況配信を許可されて話題を呼びましたが、これはラセングル社が実況者の影響力に応じて、実況配信の収益効果を見込める実況者には個別で許諾を与えているということになります。逆に言えば、実況許諾を個別に取得していない全てのFGO実況者が著作権違反の状態にあります。親告罪なので対応するかはラセングル社次第ですが、序章を超えていない場合にされることはなさそうです。(序章だけだろうと著作権違反であることは間違いないので、お勧めはしません)
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